転職でも就職でも、面接はかならず通過しなければならない関門。面接での質問にどう答えるか、今も昔も悩ましい問題です。
面接で聞かれて困る質問の一つに、あなたの短所はなんですか?というものがあります。
これ、私の感覚からすると本当に変な質問なんですよね。あなたの耳垢はパサパサですか、ネバネバですか、と聞くのと同じくらい、聞いてどうするんだろうと思う質問の一つです。
働く上で大事なことは、人の強みに着目することであって、弱みをどう克服したかなどというストーリーではないはずです。
優秀な面接官はこのことをよく分かっていますから、わざわざこんな間抜けなことは聞いてきません。弱みについてやたらと聞いてくるような人は、こちらから避けたほうがマシではないでしょうか?
面接でわざわざ弱みを聞く意味ってあるのだろうか?
人の持っている強み、弱みを考えるとき、私は次のピーター・ドラッカーの言葉が好きです。
強みのみが成果を生む。弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。
しかも弱みをなくしたからといっても何も生まれはしない。
弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなければならない。
(『経営者の条件』)
ドラッカーの言葉の通り、誰でも得意不得意がある中で、大事なのは強みをどう活かすかということですよね。それなのに苦手なところをわざわざフォーカスして聞いてくる意味ってなんだろうかと思うのです。
面接なんかで短所を聞く理由というのは、
- 自分自身をどの程度客観的に見ることができるのか
- 弱点に対してどのようにアプローチしたのか
あたりだと思うので、理想的な解答としては、
「これこれが短所ではあるが、こうしたことをして克服した」
とか
「短所を補うために、このような工夫をしてた」
みたいな、どうやって短所を埋め合わせたのかについて答える形になると思います。
どうも我々は教育の影響か何かわかりませんが、苦手な部分をどうやってなくしていったかについてのストーリーを、やたらと求められるんですよね。
でも私に言わせると、ちょっと工夫したくらいで解決できるような短所って、全然本当の短所じゃないんですよね、きっと。
本当の短所というのは、人にいったら軽くひかれるくらいの、やばめのやつですよ。そんなものを面接でわざわざ披露する意味はないと思いますし、それを敢えて聞いてくる面接官の真意というのも全く良くわかりません。
転職に失敗して初めて気付いた自分の本当の短所
とはいっても、自分の短所をしっかりと把握しておくことは別の意味で重要です。
私自身の例で言うと、監査法人への転職と、その後の強烈な失敗経験を通して、自分の弱みを嫌というほど痛感することになります。
具体的に挙げると、
- 人から命令されるのがとにかく嫌い
- 理由もなくとにかくやれと言われてもできない
- 時間に拘束されるとパフォーマンスを発揮できない
- 丁寧で細かい仕事が苦手
という感じになります。どうでしょうか?ヤバイでしょう(笑)。こんなやつ、職場にいたら困りますよね。
特に最初の3つは、資本主義社会で労働者として生きていくには必須の能力だと思います。これがないということは、そもそも会社でサラリーマンとして働く適正がない可能性がかなり高いです。
にも関わらず、なんとか今の職場で働くことができているのは、こうした弱みが露呈しないような場所をなんとか探し出せたからです。私の職種は営業・マーケティング職ということになりますが、これなんかは結構自由に自分の考えを出せますし、時間の拘束はあってないようなものです。
つまり短所を知るということは、自分の能力を発揮することができないエリアを適切に嗅ぎ分け、そこに近づかないようにするための自己防衛手段なんですね。決して面接官のご機嫌をとるための、耳あたりの良い作文を作ることではないのです。
どうやって強みを把握するか?
もちろん理想的なのは、自分の強みを把握して、それが思う存分発揮できる場所を見つけ出すことです。
ただドラッカーも言ってますが、自分の本当の強みを探し出すことは結構難しいです。ここでいう強みというのは、例えば10人いたら1人かせいぜい2人くらいしかできないような、圧倒的な希少性を持つことです。ちょっと得意かな、くらいなレベルでは強みとはいえません。
強みが見つかっていなくても、もしあなたが自分の本当の弱みを痛感しているなら、それは一つのチャンスだと思います。少なくとも自分の苦手とする場所には近づかない。弱みを克服しようとしない。それだけでも、仕事は相当やりやすくなると思います。
それでも強みを見つけたければ、他人からのフィードバックを活用するのがお勧めです。
本当に得意なことって、意外と自分では気づかないものです。ほとんど無意識のうちに、他人から見たらすごいことをやっている、というのが強みの特徴の一つだと思うんですよね。
こんなことができてすごいね、などと言われたら、それは一つのチャンスだと思って、その部分を深掘りしてみるのがいいと思います。
もう一つのおすすめとしては、自己分析テストを受けてみるというものです。この手のものとしては「ストレングス・ファインダー」がもっとも有名です。書籍を購入するだけでテストが受けられますので、試したことのない方は一度やってみることをお勧めします。
まとめ
面接で短所を聞かれる経験って、実は私はほとんどないんですよね。最近はドラッカーの言葉の影響もあってか、弱みに注目したマネジメントは廃れてきているのかもしません。
それでも、自分自身で短所を把握しておくことは大事です。そしてその内容は、面接ではとても披露できないようなヤバイやつである必要があります。そのくらい自分と向き合って初めて、真の強みを把握できるのだと思います。
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