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研究者なら知っておきたい外資系企業のリストラ事情

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大学などで研究を続けている若手の研究者の多くは不安定な労働環境の下に置かれており、そのほとんどが非正規雇用の状態です。

しかしながらこのような研究者は高度な専門知識を持っているため、民間企業の転職マーケットで戦うことのできるポテンシャルが十分にあります。特に国際的な経験も豊かで英語を使うことが日常的な環境にいる研究者にとって、外資系企業への転職は魅力的な選択肢です。

このブログではアカデミアの労働環境に耐えかねたポスドクなどの若手研究者にとって、民間企業、特に外資系企業への転職が今のところ最適解であるという話しをしてきました。

(参考記事)転職を考えている研究者の皆さん、外資系という選択肢がありますよ

今回は外資系企業と聞いてどうしても不安に思う点、ずばりリストラ事情について解説します。

外資系企業では日系よりもリストラが多いのは事実です。しかし外資での経験が十分ある場合、リストラ=失業とは限りません。むしろ人員整理のタイミングは年収やポジションを上げるチャンスでもあるのです。

外資系企業でのリストラは当たり前?

外資のイメージというと、1. 高給 2. 激務 3. 英語必須 4.すぐ首を切る、といったものがあると思いますが、実際のところそのイメージはほとんどが幻想です。

そもそも外資系企業で働いている日本人の割合は全労働者の1%程度しかおらず、その実態は一部の「声の大きな」人たちによって歪められているように思われます。

確かに外資系金融やコンサルティング会社などは、私たちがイメージする「外資系企業」の働き方に近いものと聞きます。彼らは20代半ばにして1000万円を超える年収を稼ぎ出す代わりに、連日のような激務に耐えられるだけの体力精神力が要求されます。しかし、こうした働き方をするのはごく一部の業界の人たちであって、私を含めたほとんどの外資系の社員ははそこそこの給料で、ワークライフバランスを大事にしながら働くことができています。

英語についてもネイティブレベルで話せる必要などまったくなく、本国へ正しくレポートすることができれば十分です。なかにはほとんど英語を話せない人も普通にいます。

つまり、冒頭にあげた1,2,3のイメージはほとんどの場合、歪められた外資の姿といえるでしょう。

ところが4の「すぐ首を切る」については、若干事態が異なってきます。外資系企業の場合、確かに日系に比べて人員整理に会う確率は高いのです。

ただし、これも巷でよく言われているような「外資の首切り」はごく一部の世界の話だと思って良いでしょう。

ここではせっかくなので、外資のリストラでイメージされがちないくつかのパターンについて紹介してみたいと思います。その後、私の所属するような「普通の」外資系メーカーではどのような形で人員整理がおこなわれるのかについて説明したいと思います。

ロックアウト解雇は本当にある?

外資のリストラと聞いてまずイメージされるのは、こんな光景ではないでしょうか。

ある朝会社に行こうとしたらカードキーが使えなくなっていて、おかしいなと思っていたら人事がやってきてこんな風に言います。「あなたは首になりました。オフィスに入ることはできません。私物の荷物はあとで郵送で自宅に送付します。もう会社に来る必要はありません。」

これは「ロックアウト解雇」と呼ばれるやり方で、欧米ではよくある解雇の仕方です。

しかし日本では労働基準法などが厳しいため、こういったやり方はめったに起こりません。会社が倒産するなどといった特殊な事態が起こらない限り、外資系企業に勤める人がロックアウト解雇に会う可能性は極めて低いでしょう。

アップ・オア・アウトって何?

もう一つのパターンとしてよく聞くのが「アップ・オア・アウト」と呼ばれる昇進システムです。これは昇進することができない人は必ず首になってしまうという、非常にシビアな人事上の仕組みのことです。

このアップ・オア・アウトですが、これも全ての外資系企業に当てはまるわけではありません。こうした仕組みが制度化されているのは、会計事務所や法律事務所などのようないわゆるプロフェッショナルファームと呼ばれる会社に特有のものです。戦略コンサルティング会社なども会計事務所から派生してきた業態なのでアップ・オア・アウトがあります。

このような会社は組織が高度にピラミッド化されており、上に行くほどその幅、つまり定員は少なくなっています。

また新陳代謝が盛んなため、同じ職階にとどまることができるのは3年から長くて5年といったところです。一生涯アソシエイトレベルにとどまりたいなどといった希望は基本的には聞き入れられません。その結果として、上の職階に行けないメンバーは自動的に出世の街道から降りなくてはならなくなります。これがアップ・オア・アウトの仕組みです。

しかしこれは考えてみると外資特有の制度ではなく、例えば日系の監査法人などもほぼ同じシステムを取っていますし、霞が関などで働く官僚もこうした制度のもとで働いているでしょう。

結局のところアップ・オア・アウトは外資かどうかというよりも、どういった業界に勤めるかということで決まるシステムといえそうです。

どんなときにリストラが起こるのか?

外資系企業のリストラのイメージとして、ロックアウト解雇アップ・オア・アウトについて述べてみました。どちらも普通の外資系企業に勤めている限りは、そうそうお目にかからない光景です。

一方で、外資は日系に比べてリストラが起こりやすいのは間違いのないことでしょう。自分の周りの話を見聞きしても、人員整理の話はよく聞くものです。

それでは外資系企業におけるリストラはどんなときに起こるのでしょうか。

まず第一に考えられるのが、業績不振による部門の縮小です。外資の場合、日本法人の部署に何人の人員を配置するか、つまりヘッドカウントをどうするかについては全て本国の意向によって決まっています。売上が好調なときは新しい人をどんどん取る一方で、売上が目標に届かない場合などは人員の絞込をしなくてはなりません。こうしたとき、リストラが起こります。

第二にありえるのが会社同士の合併です。外資系企業では特にM&Aがよく起こりますが、そんなときに似たような機能の部署同士は統合され、余剰人員削減されることになります。多くの場合、買収された会社の方が立場が弱いため、そちら側の部門の人員が整理されることになります。

このように外資のリストラでは個人の資質や能力といったもに先立って組織の論理が優先されることになります。どれほど優秀な人でも、買収などによる部門整理の前にあっては全く無力なのです。

これは逆に考えれば、問題があるのは優秀な人材を囲い込むことのできなかった会社側の方であって、リストラされた人たちはその被害者ということもできます。このため、リストラされた人材というのは転職マーケットでの価値が下がるどころか、即戦力が市場に放出されるということで良い意味で注目を集めることにもつながります。このため、リストラ後に別の会社で年収や待遇がアップするといったことも普通に起こるのです。

人員削減の対象となった場合、何が起こるのか?

次に、リストラの対象となった場合に社内でどのようなことが起こるのかについて考えてみたいと思います。

そもそも労働基準法によって正社員の地位が極めて強い日本の雇用環境においては、いかに外資系であるといえどもそうそう簡単に首を切ることはできず、下手をすれば訴訟問題になりかねません。そのため会社側としてはなるべく円満な形で退職を選択してもらうような手はずを整える必要があります。

そこでまず考えられるのが退職金の上乗せ、いわゆる「パッケージ」の提供です。退職にあたってこのパッケージをいかに多く取るかが、会社との交渉で重要になってきます。

次に起こるのが会社からの転職サービスの紹介です。先ほどお話したように、外資のリストラというのは本人の能力というよりも会社の問題で発生するケースの方が多いため、優秀な人が転職マーケットに放出される可能性が高いのです。そのため転職エージェント側としてもこういった人材を早めに囲っておくことは多くのメリットがあります。そこでこういった際に専門的に人材紹介をおこなう会社というものがあるのです。

ただし転職エージェントはわざわざ会社から紹介などされなくても無料でいくらでも登録できるので、あえて会社の用意したサービスを使うかどうかは慎重に判断すべきところでしょう。

いずれにせよ外資系企業に勤める以上はリストラのリスクは常に念頭においておき、最悪の事態が起こってしまった場合はなるべく良い条件で退職し、さっさと次の転職先を考えることに全神経を集中させるほうが良いということになりそうです。

まとめ

今回は外資系企業でおこなわれるリストラについてまとめてみました。

外資系企業では確かに日系企業に比べてリストラに会う確率は高いですが、その場合は自分自身に問題があるというよりも会社の業績などといった外部的な要因に影響されることのほうが遥かに多いでしょう。そのため、より有利な条件で次の転職先を見つけることは比較的容易です。

また、いつの日か自分にも人員整理の手は伸びるかもしれないと考えておくことは、主体的キャリアを考える上でも大事なことです。会社に縛られず、自分のスキルと経験を武器に転職マーケットでいつでも戦えるようにしておくのは、自由な人生を手に入れるためにはとても大切なことだと思います。

アカデミアで疲弊したと感じる多くの研究者にとって、外資系企業で働くことは自らのスキルを新しく使える大きなチャンスです。巷で言われているようなリストラも、それほど心配する必要はありません。もしも興味が出てきたら、転職エージェントなどへ相談してみるのも良いと思います。

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