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社会経験のなかった元研究者が働きだして気づいたこと

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研究者というのはアカデミアの殻の中に閉じこもっており、世間とは隔離されて仙人のように暮らしている。

こんな風に思っている人も多いのではないでしょうか?

私はポスドクと呼ばれる若手研究者として、数年にわたって大学機関で研究をしていました。その時の経験からいうと、このような印象はあながち間違っていないと思います。

そんな私ですが、一年発起して民間企業に勤めることになります(⇒ 研究室を脱出せよ!〜ポスドク転職物語〜)。

転職後は数々の社会経験を積むことになりますが、今回はそこで感じた「社会経験」の意味について考えたいと思います。

結論のようなことを先に述べておくと、社会経験というのは主に民間企業で働く際に必要な様々な「コード(儀式)」を身につけることとほぼ同じ意味だと思っています。

そしてこのコードを身につけていれば、非常に快適に会社員として生活することができる。それ以上でもそれ以下でもありません。

社会経験を積むことが人としての成長の証であるという見方もあります。しかしこれは、生きることが会社員として生活することと同意義だった時代のなごりです。

21世紀になり、働き方、生き方は多様になりました。自分にとって居心地の良いコミュニティを見つけることに成功できたのなら、その場所で必要なコードを身につければ十分です。

ただし会社員として生きていく方法は、実は非常に効率がよく、楽に稼げてしまいます。そこの部分が悩ましくもあり、社会経験がいまだに重要と考えられている理由でもあるのです。

社会経験は必要か?

社会経験があるかどうか。

実はいま、こんなことがネットで話題になっています。

ことの発端は、以下のツイート。

一昔と異なり、会社員として就職しなくても食べていける人が多く出始めています。特にブログの運営をしながら生活している、いわゆるプロブロガーの登場は10年ほど前までは考えられないことでした。

一方で、こうした人たちは社会人としての経験が浅い、もしくは全く無いため、ある種の危うさをもっているという主張があります。これは非常に説得力のある主張だなと、私などは感じました。

これに対して、プロブロガーの代表ともいえるイケダハヤトさんは以下のようにツイートしています。

社会経験ってそもそも何?という疑問の提起から始まり、社会のあり方は人によって異なるし、もっといってしまえば旧来型の社会より、SNSなどを使って信用を築き上げていく社会のほうがこれからは重要だ、との主張が続きます。

いち早くブログの価値に気付き、オンラインサロンや電子書籍を使ったマネタイズを成功させてきた、イケダハヤトさんらしい鋭い反論です。

元研究者が社会に出て気付いた真実

ここで私の話に移ります。

私は研究者として地方大学で数年間ほど研究をしたことがあり、世間一般でいうところの「社会経験」とは無縁の世界で生きてきました。

そんな私が一念発起して民間企業に転職することになるのですが、それは文字どおり「社会経験」の洗礼を浴びる場でもありました。

そこで私が気付いた真実、それは「実は社会人って楽だな」ということでした。

厳密に言うと、ここでいう社会人とは正社員として身分保障されている会社員、くらいの意味になります。

このブログの過去にも書いたのですが、毎月の給料が定年まで支払われ続けることが保証された状態というものに、社会人なりたての私は心底驚いた記憶があります。

これはあまり知られていないのかもしれませんが、若手の研究者というのは実はそのほとんどが非正規雇用です。3年程度の任期が切れると再就職先を選ばねばならず、その行き先のほとんどがやはり非正規雇用です。このようなサイクルを繰り返し、本当に運の良い一握りの人だけが、大学などの公的機関に就職することができるのです。

それでは正規雇用職を得られなかった研究者は民間企業の研究職に転職できるかというと、実はこれは非常に難しい問題です。専門分野によってはまったく就職口がなく、一からキャリアプランを立て直さねばなりません。

とまあ、こんな調子で研究者の人生というのはイバラの道が続くのです。そういした道から民間企業へ転職した私が感じたのは、会社員という身分がいかに安定しているかといった、率直な驚きだったのです。

会社員に必要な社会経験とは何か?

とはいえ、研究者として仙人のような生活を送ってきたわけですから、会社員としての社会経験の無さを痛感することも数多くあります。

私にとっての社会経験とは、ビジネスマナーを身につけること、そして不特定多数と円滑なコミュニケーションをとること、といえると思います。

ビジネスマナーというのは、知らないと本当に謎の儀式です。たとえばメールの文頭に「お疲れ様です」とか「お世話になっております」などと書くことも、転職したばかりの頃は知りませんでした。

外資系のように比較的マナーにうるさくない界隈で働いていても、ある種の儀式はついて回ります。これが日系の伝統的な会社であれば、タクシーの止め方やエレベーターの乗り方に始まり、稟議書へのハンコの押し方など、覚えることは山のようにあります。私は監査法人で働いた経験もあるのですが、そのときは本当に苦労しました。

そしてもうひとつの重要なことが、不特定多数とのコミュニケーションです。会社というのは大きな組織ですから、いろいろな人と上手くやっていく必要があります。ときには相性の良くない、もっといってしまえば気に食わない相手の言うことを聞かなくてはいけないこともありあす。そんなとき、どうやったらこの人とうまく仕事ができるのか気を配る。こんなことができるようになるのが、社会経験を積むことだと私なりに理解しています。

こうしたことがスッと出来るようになる人は、会社員としての能力がある人です。私はこれらのことがいつまでたってもうまくできませんし、どちらかというと避けて生きていたい方の人間です。それでも、5年も働いていれば人並みにできるような気もしてきますし、それが社会経験かなと思っています。

それで、なんでわざわざやりたくもないことをしているかと言えば、それと引き換えに手に入る会社員としての安定した地位にそれなりに満足しているからなんですよね。

少し前、といっても10年ほど前までは、こうした「やりたくもないこと」を見返りにして得られる会社員としての地位は魅力的でした。というか、それ以外の選択肢がまったくなかったのです。

それがこの数年のあいだで収入を得る方法は多様化してきました。パソコンひとつで月数百万円を稼ぎ出す20代の若者も珍しくありません。

こんな時代になったからこそ、あらためて社会経験の意味について議論され始めているのです。

まとめ

そうはいっても、独立してブログだけで稼げるようになる人はまだまだほんのわずかです。そのために必要な才能がすべての人に備わっているとは思えません。

会社員として働くことは不自由なことも多くありますが、その見返りは実はまだまだ十分魅力的です。

安定が欲しい人、家庭を守る必要がある人。。旧来型の社会経験というのは、そうした人たちが安心して生活していくための必要最低限のルール集だと思っておけば良いのではないでしょうか。

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  • 管理人プロフィール

ケンドー修介

東大を卒業して研究者の道に進むも、アカデミアの厳しい現実に直面してドロップアウト。 夢破れて借金あり、なんて言ってもいられず、30半ばから資産形成を開始。インデックス投資のほか、仮想通貨やブログ運営による収益化も組み合わせています。 副業ブログによる収益は、初年度で100万円を超えました。

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