確定拠出年金、通称iDeCoの人気が高まってきており、それにともなって投資信託のことを調べ始めた人も多いのではないでしょうか。
なかでも最近は手数料が極めて低い、低コストインデックスファンドに注目が集まっています。
私がiDeCoで運用している「たわらノーロード先進国株式」も、そうしたインデックスファンドの一つです。
インデックスファンドは比較的安定してリターンを生み出す可能性が高いですが、元本割れのリスクも当然あります。
そこで、今回はたわらノーロード先進国株式がどのくらいのリスクがあるのか、検討してみることにしました。
投資信託のリスクについてあいまいなところがある人は、是非とも参考にしてみてください。
目次
投資信託のリスクって何だろうか?
たわらノーロードのリスクについて解説する前に、そもそも投資のリスクって何なのか簡単に説明しておきます。
「リスク」というと、危ないとか、よくないことが起こる、みたいなイメージを持つ人も多いかもしれません。投資のリスクといったら、元本割れして損をしてしまうこと、みたいな感じでしょうか。
もちろんそういった意味で使うこともありますが、投資の世界においてはもっと具体的で、はっきりとした意味があります。
投資におけるリスクとは、リターンがどのくらいに幅で変化するかを確率で表したもの、と表現されます。リスクは別名「標準偏差」と呼ばれることもあります。
ちょっと分かりにくいので、具体的な例で解説しましょう。
このブログでも取り上げている「セゾンバンガード・グローバルバランスファンド」という投資信託があります。セゾン投資という名前でおなじみですね。
この投資信託を、モーニングスターというサイトで検索してみましょう。そうすると、次のような表が出てきます。
この図の中のリターンというのが、1年間でどのくらい元本が増えるかどうかを表したものになります。(3年と書かれているのは、過去3年のデータから算出したものという意味です。3年間のリターンではありません。)
4.91%のリターンというのは、例えば100万円を投資したら、1年後に49,100円の値上がりが期待できる、という意味です。この低金利の時代に4.91%というのはなかなかな数字ですよね。
ただし、必ず4.91%のリターンが期待できるかというと、そうではありません。投資信託はリスク資産なので、当然元本を割れる可能性もあります。その逆に、4.91%以上の利益を生み出す可能性もあります。
それではどのくらいの確率で儲かるのかということを計算するために使うのが、リスク(標準偏差)なのです。
今回の例では、標準偏差は11.17と出ています。この値をどう使うかというと、リターンの値に単純に付け加える、もしくは引けば良いのです。そうすると、
4.91 ± 11.17 %
つまり、−6% 〜 +16% の幅でリターンが変動することが分かります。元本割れする可能性も十分あるということこですね。ちなみにこの幅の中におさまる確率はおおよそ68%です。もう少し確実に予測したい場合、標準偏差の値を2倍にします。すると、
4.91 ± 22.34 % (−17% 〜 +27%)
となります。この幅の中にはいるのはおおよそ95%の確率です。
こんな感じで、リターンとリスクを使うことで、将来の資産がどの程度になっているかを予測することができるのです。
たわらノーロード先進国株式のリターンは?
前置きが長くなりましたが、これでたわらノーロード先進国株式のリターンとリスクを知る準備ができました。
ところがここで問題があります。さきほどのモーニングスターのサイトでたわらノーロード先進国株式を検索すると、リスクとリターンが表示されません。これは、たわらノーロードが発売されたのが2016年10月と比較的新しいため、リスクとリターンを計算するためのデータが十分に揃っていないためです。
ただし、心配する必要はありません。たわらノーロード先進国株式はインデックスファンドと呼ばれ、MSCIコクサイという指標に連動するような形で運用されています。MSCIコクサイに連動しているインデックスファンドはほかにもたくさんありますので、そちらを参考にしみましょう。
今回は先進国株式で手数料も安く、たわらノーロードと並んで人気の「ニッセイ外国株式インデックスファンド」を参考にしてみたいと思います。
モーニングスターの表によると、リターンは8.55%、標準偏差は17.16とあります。これにより、ニッセイ外国株式インデックスファンドは、おおよそ95%の確率で−25%〜42%のリターンを生み出すことが分かります。
たわらノーロードはまだ実績が浅い投資信託ですが、インデックスファンドの特徴を考えれば、ほぼこのようなリターンになると思われます。
どのくらいの損失を受け入れられるかが重要
このように、たわらノーロード先進国株式は平均して8%程度のリターンを生み出すものと思われますが、一方で元本割れをする可能性も十分あります。
具体的には、2.5%の確率で3割近くも元本割れしてしまうということがありうるのです。2.5%というのは、おおよそ40年に1回は起こるということです。
この40年に1度のイベントがいつくるのかは、誰にも予測することはできません。たとえコツコツと長期間の投資をしたとしても、基本的にはこのリスクから逃れることはできません。
よく長期投資をすればリスクを分散することができると書かれたものを見かけることがありますが、この考え方には注意が必要です。将来というのは先になればなるほど分からなくなりますので、資産額の不確実さは時間がたつにつれて増大します。詳しくは以下の関連記事に書きました。
・資産の長期投資は本当にお得!?複利とリスクの関係を整理すると答えが見えてくる
したがって長期投資に関するこころがけで大事なのは、どのくらい儲けられるかではなく、最悪の事態が起こったときにそれを受け入れることができるかどうかで判断すべきです。
例えば1000万円の資産を全て先進国株式のインデックスファンドに投資した場合、300万円くらいは損をしても良いという覚悟が必要です。その覚悟を受け入れることができる人のみが、6−8%という高いリターンを受け取る権利を持てるということなのです。
まとめ
たわらノーロード先進国株式はリスク資産のため、当然元本割れする可能性があります。
とはいっても、iDeCoの節税効果を考えれば、十分に検討する価値はあります。私は運用管理手数料が無料の楽天口座でiDeCoを運用しており、楽天銀行との連携で普通預金が0.1%になるお得なサービスも受けています。
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繰り返しになりますが、投資は自己責任です。そのためにも、まずは信頼のおける著者の書いた投資の本を読んで勉強しておきましょう。ちなみに私のお勧めは山崎元氏です。特に、下記の確定拠出年金について書かれた本は分かりやすいので、これからiDeCoを始めようと思っている人は目を通しておくと良いでしょう。
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