お金

元バイオ系研究者が考えるお金の貯め方・増やし方とは

更新日:

お金 私のキャリアのスタートはポスドクと呼ばれる非正規雇用のバイオ系研究員でした。単年度契約のため身分は安定しておらず、肝心の研究自体もやりたいことが自由にできないため、完全に八方塞がりのような状況に陥ってしまいました。そこでキャリアの方針転換のため、民間企業への転職という一大決心をしのでした。

ポスドク転職物語

博士課程まで進学しておきながら非正規雇用として働かざるを得ない状況の中で、一番困ったことはやはりお金のことです。ポスドクの給与水準や社会保障などは、お世辞にも待遇の良いものとは言えません。

そのような経験をしたからこそ、今ではお金の大切さをかなり強く意識するようになりました。お金とは自分と自分の家族を守ってくれるかけがえのないものであり、同時に自分のやりたいことを叶えるためのツールです。

今回は元研究員だった私なりの視点で、論理的なお金の貯め方・増やし方について述べてみたいと思います。

まずは安定した給与収入を確保する

お金を増やすために必要なことは3つしかありません。それは、

  • 収入を増やす
  • 支出を減らす
  • 投資をする

です。

このうちもっとも手堅いのは1の収入を増やすことです。それも、正社員として雇用されて安定した給与収入を得ることがもっとも効率の良いやり方です。

このように書くと、そんな当たり前のことを、と思われるかもしれません。ところが、この当たり前のことが当たり前でないのがアカデミアの雇用環境の中で起こっていることなのです。

私が民間企業へ転職してまっさきに思ったことは、毎月銀行口座に振り込まれる給与と、それが(少なくとも建前上は)定年まで続くという事実に対しての率直な驚きでした。

ところが現在の日本では急速に格差が拡大しており、民間企業の中でも正規・非正規の身分差がとてつもなく大きなものとなりつつあります。ですので既に正規雇用としての身分を確保している人は、それが当たり前のことではなく、非常に恵まれていることであることを自覚すべきです。その上で、このあとに述べる消費と投資に関する考え方をしっかりと身につける必要があります。

一方で、アカデミアの中で非正規の身分として不本意な生活をしているバイオ系ポスドクも多いかと思います。そのような方は、ぜひこちらの記事を読んでください。

(参考記事)ポスドクが民間企業で年収800万円を稼ぐための戦略的転職法とは?

これからの時代においてはバイオ系博士号がキャリアに役立つことはあっても、これのせいで就職に困ることはないというのが私の意見です。

日々の生活に困難を覚えるような状況になっている場合は、民間企業への転職を是非とも検討してみてください。

消費と生活レベルの「身の丈」を知る

お金を増やすために大事なことの2番目は、支出、すなわち消費を減らすことです。

というと、またしても「当たり前のことを」と思われそうですが、消費と生活は切っても切り離すことのできない関係ですから、これについて考えることは人生について考えることと同じくらい重要なことなのです。

消費については、経済評論家の金森重樹氏が面白い記事を書いています。

年収3000万でも“下っ端”! 本物のお金持ちは「財布が4つ」
http://president.jp/articles/-/16155

この記事によると年収の高い人は必ずしも貯蓄額が多いとは限らないといいます。それは、高年収であるためにはそれなりの必要経費も発生し、こういった人の属する世界では消費額が増えざるをえないからだそうです。これは人間関係を作ったり情報収集のために頻繁に飲みにいったりすることを想像すると分かりやすいでしょう。

消費を減らすためには、自分の生活レベル、すなわち身の丈を知ることが大事です。そして無理に背伸びをせず、身の丈よりもずっと縮こまって暮らすこと、これこそがお金を貯めるために重要なことです。

そのためには日々の支出額を細かく管理することが有効です。私のおすすめはMoney Forwardというアプリを使った家計管理です。

銀行口座やカード支払い履歴など一括管理できるので、あたかも操縦席に座っているような感覚で家計の管理をすることができます。

まずは毎月のキャッシュフロー(収入ー支出)がプラスになることを目指しましょう。

投資とリスクについて理解する

お金を増やすためにできる最後のことが投資です。

投資というと個別銘柄の株を買ったり、FXなどに手を出すイメージがあるかもしれません。しかし、こういった投資は運・不運に左右されることが多く、不確定要素が多すぎるために家計管理に組み込むには適切ではありません。

それではどうするかというと、なるべくたくさんの銘柄に分散して投資すればよいのです。これにより不確定要素を減らすことが可能になります。理系の研究者であれば、サンプル数が増えていくに従ってデータのばらつきがおさえられ、平均値に収束していくイメージを持つのがいいと思います。

そのためには自分で世界中の銘柄を買い付ける必要はなく、インデックスファンドと呼ばれる投資信託を購入すれば十分です。あるいは、TOPIXや日経平均び連動して価格がきまるETFでも同じことが期待できます。

こうして投資した資産は、おおよそ年率5%を期待値とした収入を生み出すはずです。低金利時代にあって、5%のリターンというのは非常に大きなものです。

ただしここで重要なのは期待値ではなく、その分散に注目しておくことです。

例えば外国株式に広く分散投資した場合、過去からの経験でばらつき(標準偏差)は20%程度であることが知られています。理系の方であれば正規分布と標準偏差の関係をイメージしてもらえればいいでしょう。そうすると、標準偏差のプラスマイナス2倍程度くらいのばらつきは95%くらいの確率で起こりえますから、得をすることもあれば損をすることもあることが分かります。投資の世界では標準偏差(=ばらつき)の大きさのことをリスクと呼んでいます。

もし仮に最悪の事態が起こった場合は期待リターンから標準偏差の2倍程度、すなわち40%ほどのマイナスになる可能性があり、期待リターン分を差し引いた5−40=−35%程度のマイナスに陥ってしまいます。すなわち、40年に1度くらいの割合で投資資産の3分の1程度が1年ほどで目減りしてしまう可能性を考慮しなければならないのです。(もちろんその逆に、資産が一気に150%以上上昇する確率もわずかながらありますが。)

そこで手持ちの資金を投資にあてる場合、最悪で3分の1程度目減りしてしまうということを理解した上で運用するのがよいでしょう。このように投資する場合は失われる金額から逆算して投資金額を決めるのが良いと思います。

お金のために今すぐ始められる三種の神器

以上ように、お金を増やすためにできることを収入、消費、投資の3点から見てみたわけですが、いかがだったでしょうか?

理屈は分かっていていも、すぐに変えられるところとそうでないところがあると思います。給与収入はそれほど簡単に上がるものでもありませんし、投資をするにはある程度まとまった資金が必要です。消費額を抑えることはすぐにでもできるでしょうが、その効果は限定的です。

そんな中にあって、お金のために今からでもすぐに始めることのできることが3つあります。それは、ふるさと納税確定拠出年金NISAの3つです。私はこれを、お金のための三種の神器と名付けています。以下、それぞれ見ていくことにしましょう。

ふるさと納税

ふるさと納税はほとんどの納税者にとって得になる仕組みであるにも関わらず、やっている人は以外と少ないため、まっさきにオススメしたい制度です。

この制度を簡単にまとめるならば、以下のようになります。

  1. 任意の自治体に寄付する。(自分のふるさとである必要はない。「ふるさと」というのは制度の愛称のようなもの)
  2. 寄付すると、お礼の品をもらうことができる。
  3. 寄付金は、翌年の住民税から控除される

お礼の品は地方の特産品などが多く、なかでも肉や野菜などといった食料品が大部分を占めています。そのため、これらをもらうことで日々の食費を浮かすことができるのです。

税金の控除というとなにやらややこしくなりますが、以下のように考えると良いでしょう。

まず、私たちは住民税というものを支払っています。給与所得者は月々の給料から天引きされていますので、これを意識することはなかなかありませんが、実は毎年結構な金額を払っています。ふるさと納税では、この住民税を(形式上)前もって支払う形になります。例えば、来年支払うべき住民税のうちの一部分を、寄付金という形で今年のうちに支払ってしまうのです。そうすると来年になったとき、この寄付分は支払う必要がなく、これを控除と呼んでいるのです。

もう少し厳密にいうと、控除は寄付金全額ではなく、そこから2千円引いた形になります。したがって、今年ふるさと納税を5万円した場合、来年の住民税は4万8千円が控除されます。

以上をまとめると、2千円の現金負担をすることで、さまざまな自治体から食料品をもらうことができる。これがふるさと納税のあらましです。

↓↓ 寄付の仕方や控除額の限度を知りたいときはこちらから ↓↓


確定拠出年金

次におすすめの制度が確定拠出年金です。

サラリーマンであれば厚生年金に自動的に加入することになりますが、これとは別立てで年金を積み立てておくのが確定拠出年金になります。将来的に公的年金だけでは暮らしに不安がある場合に、自らの判断で老後資金の準備をすることができる制度です。

確定拠出年金は将来のための資産形成を意識したものですが、実は短期的にも大きなメリットがあります。それが節税効果です。

ここでも税金の控除の話がでてくるのでややこしいのですが、要は確定拠出年金として積み立てた金額の2−3割分の税金を支払わなくて済むというのが大きなポイントです。

例えばサラリーマンが個人型確定拠出年金に毎月積み立てられる上限の2万3千円を1年間続けた場合、その金額は27万6千円になります。この時、年間に支払う税金を所得税率20%、住民税率10%ととした場合、その合計の30%分、実に82,800円の税金を支払わなくて済むことになるのです。もちろん積み立てた金額は将来自らの年金として受け取ることができます。

このように確定拠出年金は全くリスクを負わずに8万円ものキャッシュを生み出すため、ほとんどのサラリーマンにとって加入するとお得になる制度なのです。

NISA

三種の神器のうち、最後がNISAです。

NISAは少額投資非課税制度といって、年間120万円までの投資分の利益が非課税になる制度です。

投資とリスクの部分で解説したように、お金を貯めることを前提にした投資では短期的な売買を目指しません。その代わりに、ここまでなら損をしてよいという範囲の部分だけを、インデックスファンドやETFのように十分に分散が効いている資産で運用します。この運用をNISAで賄えば、利益が出た際に支払うべき約20%の税金を支払わなくて済むのです。

バイオ系のポスドクとして生活していた期間が長い場合は投資にまわせる資産がほとんどないことが多いと思いますので、まずはしっかりと貯蓄に励むのが良いでしょう。そしてNISA枠の上限くらいの余裕資産が生まれたら、投資の勉強もかねて運用してみるというのが良いと思います。

まとめ

今回はバイオ系ポスドクとしてお金に苦労したからこそ意識できるようになったお金の貯め方・増やし方について私なりの考えを整理してみました。

お金は自分と家族を守ってくれる大事なパートナーであり、自分のやりたいことをかなえてくれるツールでもあります。雇用環境や経済情勢の先行きが不透明な今だからこそ、しっかりとお金のことについて考えておくことが重要なのではないでしょうか。

ad

ad

-お金

Copyright© ポスドク転職物語 , 2017 AllRights Reserved.