研究

「バッタ博士」にみる、好きなことで生きていくために必要な覚悟とは?

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好きなことをしながら生きていく。

いい言葉ですよね〜!

誰しも、嫌なことはしないで、自分が本当にやりたいことだけやりながら生きていく、そんな生活が送れたらと思ったことがあるのではないでしょうか?

今回は好きなことを追い求めてアフリカまでいった研究者についてご紹介したいと思います。

好きなことをするには情熱と戦略が必要です。バッタ博士の生き様は、これからの働き方を考える上で大きなヒントになると思います!

バッタ博士のみたアフリカ

Twitterのタイムラインを眺めていたところ、緑色の布をまとった怪しい格好の人物が写った本の写真が流れてきました。

著者の前野ウルド浩太郎博士は、「バッタ博士」して一部界隈で有名な研究者。

その前野氏が、研究先として赴任したアフリカのモーリタニアでの研究、というか冒険と格闘の日々を綴ったのが本書になります。

レビューサイトのHONZに素晴らしいレビュー記事が載っていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ

ちなみに本記事のレビュー記事を執筆している堀川大樹氏もクマムシの研究者。「クマムシ博士」として、メディアなどに積極的に露出している方でもあります。

愛嬌のある「クマムシさん」というキャラクターのプロデュースや有料メルマガの発行などもしており、研究のマネタイズという点でも画期的な仕事をされています。

クマムシ博士によるバッタ博士の紹介ということで、レビュー記事も当然のことながら熱量をもったものとなっています。

私ももともとは生物系の研究をしていたので、お二人の活躍には思わず応援の声をかけたくなります。

バッタに対する圧倒的な情熱

バッタ博士の前野氏はブログでも研究生活の様子を報告していますが、そこから感じられるのはとにかく研究への愛。本当にバッタが好きなんだなあ、というのがひしひしと伝わってきます。

砂漠のリアルムシキング

小さいときから昆虫が好きで、「ファーブル昆虫記」に憧れて研究者になる。

これって、一般の人が思い描いている研究者に対するイメージとぴったりではないでしょうか?

ただね、と私などは思うのです。

本当に個々まで研究を愛している研究者って、どのくらいいるのでしょう。

少なくとも自分は、研究に対する愛情をそこまでは持てなかった。

当然ながら、私も小さいときから理科は好きで、宇宙のことや生物のことを勉強するのはワクワクしたものです。

大学に入って研究室配属になってからも、最先端の研究を目の当たりして、研究こそが自分の人生なのだと確信したのでした。

ところが実際に博士号を取得してプロの研究者となって待ち受けていたのは、劣悪な労働環境と低賃金、それに捏造に汚染されたモラル崩壊の現場でした。

そのような状況の中で、なんとかして自分で未来を切り開こうというほどの情熱と愛を、私は研究に対して持つことはできなかったということです。

研究者の待遇については、先ほどご紹介したレビュー記事の中にも、チラッと触れられています。

さらに追い討ちをかけるように、文部科学省から受けていた若手研究者支援も期限が切れてしまう。それは、無収入になることを意味していた。…...このような人間を無収入にしても良いのだろうか。何かがおかしい。そう言いたくなってしまう。

『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ より

レビュアーのクマムシ博士氏がこう言いたくなってしまうのは、もっともなことだと思います。そのくらい、若手研究者に対する待遇というのは悪化しているのです。

著者の前野氏はこうした境遇にもめげず、国や文科省の政策に声高に異を唱えるでもなく、ただひたすら、自分でできることは何かを考え、そして実行に移していくのです。

いやはや、研究者をドロップ・アウトした私からすれば、本当に頭が下がる思いです。

研究者として生き残れるのは誰か?

前野氏をここまで突き動かすものは、まさしく研究に対する愛。逆言えば、このくらいの強い愛がない人間は、もはやアカデミアという舞台で研究を続けることができなくなっています。

年収300万円程度で社会保険や福利厚生もなく、任期は1年更新の契約社員扱い。任期切れ後に就職先がみつかる保証はどこにもなく、正社員扱いのポジションにつける可能性は1%程度。研究者になるとは、こうした環境に身を置くということなのです。

こうなってくると、ほとんどミュージシャンやダンサーとして食ってく、というのと変わりはありません。名乗るだけなら誰でもできるミュージシャンと違って、研究者になるには博士号を取得しなくてはならないので、ハードルとしてはそれよりもずっと高いものになるでしょう。

私のように研究に対する愛と覚悟が備わっていない人間には、とうてい勤まるわけもないのでした。

逆にいえば、文科省や国の科学技術政策における人材の考え方というのは、こうした研究者、つまりは低賃金でもたくましく研究をつづけるだけの情熱をもった人だけがアカデミアに残れれば良いということでもあります。

研究に対する熱意が薄い人は、徐々にアカデミアから離脱していきます。今のところ、国の考えているスクリーニング方法は有効に機能しているようにも思えます。

大変残酷な話ではありますが、これが現実です。

研究者になりたいと考えている人は、こうした国からのメッセージを冷静に読み解く必要があるのです。

これからの研究者に求められるものは?

さらに言うと、これから研究者として活躍するには、実は情熱や愛だけでは不十分です。

それは、バッタ博士の全身タイツであったり、クマムシ博士のクマムシさんのような、戦略的なコミュニケーション能力です。

これからの研究者は、アカデミアという象牙の塔の中から飛び出し、世の中と積極的に関わるべきだと私は考えています。

そのとき必要になってくるのが、メディアとしての研究者個人のあり方です。SNSやブログを駆使して、世の中とつながる。そのために有効なコミュニケーション方法は何か戦略的に考え、実行していく能力が求められます。

これこそが、研究者が好きなことをしながら生き延びていくための唯一の戦略ではないでしょうか。

「好きなことで生きていく」というのはこれからの働き方を紐解くキーワードでもあります。既にユーチューバやブロガーは、自分の腕一本で稼ぎ、生活していける時代になりました。

研究者として生きていくには、もはや国や政府の支援だけでは不十分です。逆にいえば、そうした庇護を必要としなくても立派に自立していける可能性を、これからの世界に見つけ出していこうということです。バッタ博士の全身タイツ姿は、そんな未来を予感させるものです。

まとめ

一生を捧げるくらい好きなことが見つかるというのは、もうそれだけで才能と言っていいと思います。

ところが少し前まではやりたいことがみつかっても、それを実現するには誰かの支援や大規模な資本を必要としました。

その点、ソーシャルネットワークが発達した今、個人ができることというのは格段に広がったと思います。

好きなことをして生きていく人生。バッタ博士を見習いたいものです。

・ちなみに、私の研究ドロップアウト人生は ⇒ ポスドク転職物語

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