研究

なぜブラック研究室の学生はいつまでたっても学位を取れないのか

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ここ最近、博士課程に進学して学位を取得しようと考える学生の数が減少傾向にあるそうです。

そんな中でも志をもって研究室で実験をこなし、博士号を取るために日夜努力している学生も少なくありません。

ところが、研究室の中にはいつまでたっても学生に学位を出さないところがあります。そのようなラボは修士の学生やポスドクに対しても十分なサービスを提供せず、人材をただただ搾取の対象としかみていないように思われます。これがいわゆる「ブラック研究室」です。

今回は前回に引き続いて、ブラック研究室に迷い込まないために知っておくべきアカデミアの闇の部分について解説してみたいと思います。

無償の労働力として縛り付けられる学生

一般的に、大学の難易度に比べて大学院への進学は比較的簡単と言われています。そのため、東大などの有名な大学院に進学し、最終学歴を「更新」するようなケースを耳にすることがります。

それではなぜ大学院へは進学しやすいのでしょうか?

それは、学生が大学院に取って学費を払ってくれる貴重なお客様だからです。

特に理系の研究室にとって彼らは無償で実験をしてくれる貴重な労働力です。その中でも博士号の取得を目指している学生は格好のカモです。学位というエサをぶら下げることで、彼らは文句も言わずに黙々と過酷な労働を、長期間にわたって続けざるを得ないからです。

「せっかくここまでやったのだから、もっと頑張って一つ上のレベルの雑誌に投稿しよう。」こんなことを言われながら何年にもわたって飼い殺しになっている博士課程の学生を私自身、何度も目にしてきました。ブラック研究室ではこのようなことが日常茶飯事なのです。

しかもブラックであっても企業ならば出るはずの給料が、ブラック研究室では支払われていません。それどころか、学生は高額な学費を毎年支払い続けなくてはならないのです。

売り手市場のアカデミアで学生は強気になるべし

ところがこのような風潮に変化が起きつつあります。

前回の記事でもふれた通り、アカデミアの過酷な状況が学生に知られるようになった結果、博士課程に進学する学生数が急激に下がっているというのです。この結果、一部の研究室では研究を遂行するための労働力が確保できなくなってきており、研究に支障が出始めているのです。

これは、少なくとも博士課程に進学しようとしている学生にとっては朗報です。もはや学生は貴重な資源であり、空前の売り手市場が始まろうとしていると見るべきでしょう。

このような環境下において、研究室を選ぶ学生は思い切り強気に出るべきです。

まず、その研究室で学位を取るのに何年かかるのかリサーチしましょう。修士・博士課程合わせた規定年数は普通は5年ですが、この年数で学位を取らせてくれないラボも数多くありますので、このようなところは避けるようにしましょう。もちろん研究結果が出なければ学位は取れませんが、5年もあれば普通の研究能力があればそれなりの結果は出るはずです。そしてその結果をまとめて論文まで仕上げるのは、かなりの部分は教授やスタッフの腕にかかっています。要はそうした優秀な教員が揃っているかどうかのバロメーターが、学位取得年数なのです。

次に重要なのが経済面での支援です。修士課程で就職せずに博士課程に進学した場合、本来得ることができたはずの給料と、その代わりに支払わなくてはならない学費がそのまま学生の負担になります。そうまでして進学しようと思わせる何かがない限り、そのラボには行かない方が良いでしょう。具体的には、TAをすることによる金銭的な補助や、学振の採用率の高さ、それに卒業後の魅力ある進路実績などをしっかりと公表しているところを見つけ出しましょう。

ブラック研究室は自然淘汰されて消えるべきだ

ここで予め断っておきたいことは、世の中にはブラックな研究室ばかりではないということです。教員の中にはアカデミアにおける人材育成の問題に真剣に悩まれている方も数多くおり、そういう人たちの運営するラボでは、学生に対して素晴らしい支援がなされています。

とはいいつつも、一部のラボではいまだに学生を駒のように扱っているところがあるのも事実です。

自分の体感でいえば、学生の面倒をしっかりとみてくれて、なおかつ研究実績も高いところというのは、全体の2-3割といったところだと思います。

学生の皆様は是非とも情報収集を怠らず、世の中の2−3割に満たないホワイトのラボを見つけていただきたいのです。

そして願わくはブラックと呼ばれる研究室に学生が近寄らなくなり、それらが自然淘汰で消えて無くなっていただきたいと思っています。そうすることが、アカデミアを若くて優秀な学生にとって魅力ある場所にするからと考えるからです。

まとめ

今回はブラック研究室の見分け方の手段として、学位取得までの年数という観点から解説してみました。

学位取得年数だけをみて研究室の良し悪しを判断することについては反論もあろうかと思いますが、アカデミアのおかれた環境を考えると、あまり呑気なこともいっていられない時期に差し掛かっているのだと思います。また学生に取っては、学位取得費用については単純に少ないに越したことは無いわけですから、是非とも強気の姿勢で望んでもらいたいと思います。

それから、自分のいる、あるいはいたラボは若い学生にお薦めできるという情報かあれば、是非とも内外に発信していってください。そのような「ホワイトリスト」が、アカデミアの健全な環境醸成に役立つのではないかと思います。

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