ポスドク転職物語

ポスドク転職物語の副音声【旅立編】

投稿日:

ポスドク転職物語 30〜33

ポスドク、つむぐ。

山小屋のたとえ話は、私が実際に面接の際に述べた内容です。自分のやりたいこと、自分ができること、そして自分に期待されている役割を分かりやすく印象づけられたのではないかと思っています。面接という名の「商談」では、相手の記憶に残るようなストーリーが重要ではないでしょうか。

ポスドク、歩み出す。

というわけで、ケンドーの転職活動はこのようにして無事幕を迎えることができました。最終面接が英語というのが想定外ではありましたが、英語の試験ではありませんし、言いたいことをなんとか伝えることが肝要だと思います。質問される内容はだいたい決まっていますから、答え方を丸暗記するのでも構わないと思います。質問を想定しておくのは、実は日本語の場合でも同じですね。想定質問は、たとえば

などが詳しいかと思います。

さて、人事の西さんの言うようにグローバルレベルで見れば博士号取得に対する求人ニーズというのは確かにあります。これは博士号に限った話ではなく、自分のスキル・知識が必要とされている世界を見つけることができれば、転職活動を有利に進めることができるはずです。業界・業種を越えた転職マーケットの理解、すなわちマーケティングこそが、転職活動においてもっとも重要なのではないでしょうか。

ポスドク、気づく

ウェスタンブロッティングというのは、サンプル中に含まれるある特定のタンパク質のサイズと量を調べる、分子生物学ではごく一般的な分析手法のことです。正しく使えば強力な解析方法になる一方、多少あいまいなデータ出力形式、つまり基本的には画像の「見た目」であることを悪用して、恣意的に用いられがちな手法でもあります。

昨今、バイオ系論文の不正ねつ造事件が急増していますが、ほとんどのねつ造論文でウェスタンブロッティングの不正が発見されています。ケンドーが見つけたように、ほかの論文の画像を反転したり拡大してそのまま使うといった杜撰な方法が用いられており、第3者によって「発見」されてねつ造が露見するケースも多く聞きます。なぜそのような「雑」な方法で不正をするのか、その心理はよく分かりません。ただ、雑だったために発見されて不正が暴かれてしまったのであって、念入りにねつ造したデータは発見のしようがない、すなわちすでに発表されている論文にも数多くの不正が隠れているのかもしれない、と考えることもできます。もしそうだとするならば、これは本当に恐ろしいことだと思います。

研究室、飛ぶ。

藤森教授が語るように、サイエンスの世界は基本的には性善説、すなわち不正など起こるはずがないという価値観で構築されています。そのため仮に不正・ねつ造がおこわれていたとしても、それを発見することは極めて困難です。今回のケースでは三井さんの論文が大きなインパクトを持っていたために多数の研究者が追試をおこない、そこで論文通りの結果が出なかったことが、結果的にねつ造発覚の決定的な要因になりました。

物語中、田所教授は不正を知らなかったという理由で直接的な責任は問われませんでした。しかしながらこれが現実であれば最低でも懲戒処分、場合によっては解雇されていてもおかしくない事例でしょう。事実、国内の論文不正事件では責任者の多くが免職されています。

このような重い処分に対し、厳しすぎるのではないかという声を一部のアカデミア関係者から聞くことがあります。末端の研究者がおこなった実験の詳細まで把握することは不可能であり、そのような責任を取らせるのは適切でないという意見です。このような考え方に対しては私は反対します。物語中でも描写したように、不正が起こる研究室には、その温床のようなものが存在し、そういった研究室の環境(Environment)を醸成する一番の要因は研究室責任者にほかならないからです。ネガティブデータを出すことを良しとせず、インパクトのある結果を出さない限り論文が何年も出せなければ、研究者は自ずと不正への道を歩み出すでしょう。

以前にも述べたように、これからの研究責任者に求められるのは研究能力のみならず、研究室という組織を運営できる、Integrityをもったマネージャーであるべきではないでしょうか。

これからのこと。

さて6回にわたってお送りしてきた副音声も今回でおしまいです。自分が転職する際に実際に考えていたことや、影響を受けた本の紹介なども入れてみましたが、いかがでしたでしょうか?

これからですが、ポスドクや理系研究者がどうやってキャリアパスを築いていけばいいのか、そして自分自身はどのようなキャリアを歩んできたのかについて、引き続きブログという形で発信していければいいなと考えています。特に自分自身のことでいいますと、この転職物語のあとに実に2回もの転職を繰り返すことになるのですが、そのうちの1つはおよそ理系の研究者であれば縁のないような世界に足を踏み入れることになりました(戦略コンサルではありません)。そのあたりの事情については、別の機会に述べたいと思います。

それでは、今後ともどうぞよろしくお願いします。

ad

ad

-ポスドク転職物語

Copyright© ポスドク転職物語 , 2017 AllRights Reserved.