ポスドク転職物語

ポスドク転職物語の副音声【再起編】

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ポスドク転職物語 24〜29

ポスドク、分析する。

研究というものに取り組む際にもっとも重要なものはなにかと聞かれれば、私は「仮説と検証」ではないかと思っています。自らが立てた仮説が正しいかどうかを実験などにより検証し、仮説が間違っていれば新たな仮説を立てる。そのようなサイクルを何度も回していくことにより、いつかは真の解にたどり着くだろいうという態度です。

研究を始めたばかりの頃は実験結果に一喜一憂し、うまくいかない際は落ち込んで何もやる気にならなかったりもしました。それが、仮説と検証のプロセスを繰り返す先輩たちの姿を見るうちに、実験結果というのは客観的な態度で臨むものなのだということが、だんだんと理解できるようになっていったのでした。そういう意味では、科学者というのは人並み以上に失敗の経験を積み、そこからすぐに立ち直ることのできる人種なのではないかと思います。

ケンドーの仮説と検証のサイクルは、まだ一度目が終わったにすぎません。ここからどうやって新しい仮説を作り、真の解、すなわち転職というゴールに向かうことができるのか、続きを見ていきましょう。

ポスドク、再び走り出す。

戦略コンサルタントへの転職活動を通じて、「ファシリテーター」という役割を知り、強い興味を持つようになりました。こうして目標となる自分を見据え、「自分が本当にやりたかったこと」を軸とした転職活動を始めることになりました。

ファシリテーターという言葉も最近では良く聞くようになりました。特に、企業研修などで積極的に取り入れられるようになったワークショップにおいて、進行を担当するファシリテーターの役割は重要です。ワークショップの目的はあくまでも参加者が主体的に考えて結論を出すことにありますので、ファシリテーターは先生のように答えを提示することはありません。その代わりに、場の空気を作り、ディスカッションが熱を帯びたものになるように注力するのです。

実際に私もワークショップに参加して痛感したのですが、このような会に参加する人たちは必ずしも全員が積極的ではありません。特に、営業のように売り上げの数字に対してノルマがある場合、無理矢理参加させられ大事な時間を潰されたという態度を出す人も少なくありません。このように利害関係の異なる人たちの意識を統一し、一体化をもった主体的なワークを作り出すには、熟練のプロフェッショナルの関与がかかせません。企業研修では経費削減のためなのか、社員をファシリテーターにしたワークショップを開くことも多いですが、経験を積んだプロのファシリテーターとの差は歴然としています。このような大事なところでコストを削減するくらいなら、ワークショップなど開かない方がまだましでしょう。そのくらい、ファシリテーションの技術というのは重要なものなのです。

ポスドク、つまづく。

本文にも書いたとおり、転職において鍵となるのは、「能力(ポテンシャル)」「経験」「結果」の3点であり、年齢や転職ステージがあがるにつれ、後者の占める重要度があがっていきます。私自身の場合でいえば、経験というものが最も重要視される転職マーケットに参入したことになります。

そこでポスドクの経験とはなんなのかということについて考える必要が出てくるわけですが、その前に転職マーケットを分割して考える方法について説明したいと思います。一つは業種という考え方。そしてもう一つは業界という考え方。ポスドクの場合は、「アカデミアという業界」における、「研究職という職種」にポジショニングされます。そして転職活動の場合、自分が動く先の業種、職種は同じなのか、異なるのかにより、行動戦略を変える必要が出てくるのです。

行動戦略の詳細については別の機会に述べるとして、私の目指したキャリアパスというのは「異業種・異業界」という難易度の高いものでした。そのようなチャレンジを志したきっかけは今まで何度も述べてきたような「新しい世界への挑戦」という、自らの強い思いのためです。一方で、受け入れる側にしてみれば、そのような人材を受け入れるための理屈、ロジックが必要であり、それが「経験」ということになるわけです。

異業種異業界に、自らの科学者としての経験をどのようにしてプレゼンするか。ここが、今回の転職活動の山場ではなかったかと思います。

ポスドク、出会う。

転職活動におけるエージェントの重要さについては以前にも触れたかと思います。エージェントにはそれぞれ強い分野というものがあり、コンサルティングに特化した会社や、エンジニアに強い会社など、様々なものがあります。その中で、まだ数は少ないですが理系研究者の転職に実績のある会社というものも少しずつではありますが増えてきたように思えます。転職に興味のある研究者の方は、このような所の話を聞いてみるだけでも価値があるのではないでしょうか。

ところで、文部科学省などがポスドクの転職支援のために人件費を一定額負担するというニュースを何度か耳にすることがありますが、私は本質的にはこのような支援にはあまり効果がないと思っています。もしも企業が研究者という人材に対して価値を見いだしているのならば、エージェントコストを負担してでもそのような人を探してくるからです。実際、私の周りにはエージェントを通して転職を成功させたポスドクの方が多数います。少なくとも公的な機関は人件費負担などの目先の方法を取るのではなく、啓蒙活動(それは企業に対しても当事者の研究者に対しても、という意味ですが)などに限定するべきではないでしょうか。

ポスドク、みなぎる。

大学などで働く研究者の転職というと、専門を生かして企業などの研究職に就くというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。以前お話しした「業種・職種」のフレームワークでいうと、異業種・同職種での転職ということになるかと思います。ところが、実際にはこのような転職が成功することはまれです。特に、バイオ系の研究者の場合は空前の買い手市場が続いているため、よほど研究内容が一致していない限りは研究職での採用というのは難しいと考えた方が無難でしょう。それは、大手製薬メーカーであろうとベンチャー企業であろうとあまり変わらないと思います。従って、逆説的ではありますが研究者の転職がうまくいくかどうかというのは、研究職にこだわらないかどうかということが重要になってくるわけです。

物語中に出てくる清水さんの場合も、最初の転職活動は研究職にこだわっていたためになかなかうまくいきませんでした。そんな中出会った転職支援サービスという職業が、「やりたいこと」と「できること」の交差点にあることに気づいたわけです。

「専門職」と呼ばれる職業の人たちが、自分の専門にこだわって転職活動をすることは、ある意味では当然のことといえるかもしれません。ところが、そのようなマーケットは得てして熾烈な競争状態にあります。それよりは、異業種、異業界に飛び出した方が自らのもつ専門が輝く場合がありうるわけです。つまり、専門を持った上で新天地で勝負する、これこそが本サイトでもこれから述べていきたい「理系のためのキャリアパス」戦略です。このようにして考えれば、転職活動というのは非常にクリエイティブな作業だといえるかもしれませんね。

ポスドク、ひらめく。

転職活動というのは自分という「商品」を売り込むための機会だと、以前この欄で述べたかと思います。そういう意味では、書類が通過して面接にまでたどり着いたということは、企業という「お客さん」があなたという商品に対してある程度興味を示してくれているということにほかなりません。場合によっては買ってもいいかも、と思っているわけですから、営業活動的にはある種の山場を向かえたと言っていいかもしれません。

転職者の募集ですが、戦略コンサルのように通年でおこなっているケースはまれで、多くの場合は前任者の退職や人員拡大によって生じた空白のポジションを埋めるためにおこなうのが一般的です。いずれにしても、一つのポジションを巡って複数の応募者が集まることになります。その中で自分という商品がいかに他人と異なるか、つまりは「競合他社」との差別化をどのように出すかがポイントとなります。そのためには、なにより相手のニーズを理解し、そのニーズに自分がいかに合致するか、そのことを分かりやすく伝えていけばいいのです。このようにして考えると、転職活動というのは自分という商品を売るための営業活動と考えて良さそうです。

さて、ケンドーの転職活動はいよいよ山場を迎えることになります。

ポスドク転職物語の副音声【旅立編】

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